Skip to main content
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

I'm a software engineer and CEO of Easpe, Inc.

View all authors

自閉症児への音楽を使った支援は、何を改善するのか

· 19 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年10月9日に公表された発達障害関連の研究を紹介します。中心となるのは、自閉症のある子どもへの音楽を使った支援を33研究で検討した系統的レビューです。社会的なやり取りには平均的な改善が見られました。一方、自閉症に関連する尺度の点数が下がることを、生活の質や社会参加が良くなったことと同一視できません。何を支援の目標とし、誰にとって意味のある変化を測るかが重要です。

ADHD児へのデジタル介入を扱う37試験のレビューでも、保護者・教師の評価と客観的課題の結果には差がありました。スウェーデンの質的研究は、自閉症のある女子生徒の所属感が、友人、教師、家族と柔軟な学校環境の関係の中で育つことを描いています。一般集団の研究では、自閉的特性と多様な精神症状との関連は男女ともに見られ、全体として明確な性差は示されませんでした。

発達障害の原因診断に、全ゲノム解析はどこまで役立つか

· 14 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年10月5日に公表された発達障害関連の2つの研究を紹介します。中心となるのは、原因が分かっていない発達障害のある人567人を対象に、全ゲノム解析と従来の遺伝学的検査を比較したベルギーのランダム化試験です。確かな分子診断に至った割合は全ゲノム解析群で39.8%、従来検査群で30.0%でした。ただし、性別構成や解析手順の違いを調整すると差の推定値は7.3ポイントとなり、統計学的な不確実性が残ります。

もう一つは、子どもと青年のADHDに対する心理社会的支援を42研究から整理した系統的レビューです。保護者への行動支援、学校での目標共有、医療・心理職による介入などを、家庭・学校・臨床の間でつなぐ意義を検討しています。支援は症状だけでなく学習や日常生活の機能にも目を向ける必要がありますが、介入の種類や研究方法が多様で、特定の組み合わせが常に優れるとまでは結論できません。

脳性まひ研究に当事者の声を組み込む方法

· 12 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年10月4日に公表された神経発達関連の研究を紹介します。中心となるのは、ブラジルの脳性まひ登録事業に、当事者と家族の視点をどう組み込むかを検討した研究です。脳性まひのある成人5人と子どもの母親6人が参加し、研究者とともに参加の障壁を整理して、26項目の行動計画を作りました。専門用語の多さや研究者の態度、時間の制約に対応するため、分かりやすい言葉、柔軟な参加方法、意思決定への参画が重視されています。

もう一つは、幼少期のマンガン曝露と脳の発達の関係をマウスで調べた基礎研究です。雄の仔マウスでは、成長後の学習・記憶の成績低下と、海馬でシナプスを取り込むミクログリアの活動増加が見られました。分子機構をたどる手がかりとなりますが、自閉症やADHDの発症、あるいは人での曝露リスクを直接示した結果ではありません。

自閉症・ADHDの母親に合う周産期ケアとは

· 12 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年10月3日に公表された発達障害関連の研究を紹介します。中心となるのは、自閉症やADHDのある母親にとって、妊娠・出産・産後のケアを利用しやすくするには何が必要かを、当事者の経験から考えた研究です。分かりやすく一貫した説明、触れる前の確認、感覚環境への配慮など、診断の有無だけに頼らず実践できる調整が示されました。

もう一つの研究は、自閉症児の食事中の困りごとと感覚特性の関係を調べた系統的レビュー・メタ分析です。食べ物の選び方を単なる好き嫌いとして片づけず、触覚や味・匂いなど複数の感覚を含めて評価する視点を提示しています。ただし、研究の大半は横断的で、感覚特性が食行動の問題を引き起こすと証明したものではありません。

自閉症児の飛び出し・行方不明リスクをどう防ぐか

· 17 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年9月30日に公表された発達障害関連の研究を紹介します。中心となるのは、自閉症のある子どもの飛び出し・行方不明行動に関する系統的レビューとメタ分析です。行動の経験割合は統合推定で46%でしたが、研究間の差は大きく、この数値を個々の子どもの危険度と同一視することはできません。ADHDの併存、危険への気づき、意思疎通の困難などを含め、個別の安全計画を考える材料になります。

また、日本の母親を対象にした調査では、支援を得られているという実感が心理的苦痛や社会的孤立の少なさと関連しました。自閉症大学生の研究は、社会活動への参加時間が同程度でも、参加しやすさや経験の質が異なり得ることを示します。基礎研究では、STXBP1関連神経発達症の遺伝子変異がタンパク質に与える影響を二つの蛍光指標で調べる方法が報告されました。

発達障害に共通する「一つの遺伝因子」はあるのか

· 21 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年9月29日に公表された発達障害関連の研究を紹介します。中心となるのは、自閉症、ADHDなどの神経発達症を単一の遺伝的な要因で説明できるかを検討した研究です。疾患を横断する共通性は見られるものの、一つの因子だけで全体をまとめるモデルはデータに十分合いませんでした。診断名を超えた共通性と、それぞれの状態に固有の違いをともに考える必要があります。

さらに、言葉による意思表出が難しい自閉症成人の抑うつをどう評価するか、小児自閉症支援における対話ロボットの臨床検証、トラウマ経験のある自閉症成人のストレス構造を取り上げます。読字障害児の脳波研究と子ども向けブレイン・コンピューター・インターフェースのレビューも紹介し、小規模な初期研究から実践上の効果を判断する際の注意点を整理します。

18か月健診の保護者回答から、自閉症と発達の遅れをどう見つけるか

· 26 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年9月28日に公表された発達障害関連研究と、翌29日に受理された新しい論文を紹介します。中心となるのは、18か月健診で保護者が答える質問から、自閉症と発達の遅れをより早く見つけられるかを調べた研究です。保護者の回答を組み合わせた新しい方法には可能性が示されましたが、実際の健診での有効性はこれから確かめる必要があります。

あわせて、ADHD治療薬の使用と学業成績、認知トレーニングのランダム化比較試験、自閉症のある人の困難な行動に対する支援法の研究蓄積を取り上げます。さらに、アトピー性皮膚炎と神経発達症の関連、騒音環境と自閉症のある人の生活、成人期に診断を見直すことの意味を検討します。関連があること、介入で変化したこと、まだ理論として提案されていることを分けて読み解きます。

自閉症の診断が変わった後も、支援の必要性を見つめる

· 24 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年9月27日に公表された発達障害関連研究と、新たに受理された論文を紹介します。中心となるのは、かつて自閉症と診断され、その後に診断基準を満たさなくなった子どもと、診断が続く子どもを比較した研究です。診断の変化は大切な情報ですが、それだけで生活上の困難や支援の必要性が消えたとは判断できません。

あわせて、睡眠・実行機能と反復行動の関係、WDFY3遺伝子の機能低下を調べた細胞・動物研究、腸内細菌のトリプトファン代謝を扱う自閉症モデルマウス研究を取り上げます。さらに、アンジェルマン症候群のコミュニケーション変化をどう測るか、画面を通じて学んだ言語が生活の中でどう使われるかという研究も紹介します。臨床で観察された関連と、実験室で示された可能性を区別しながら読み進めます。

自閉症のある生徒の学校排除と心の健康を考える

· 23 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年9月26日に公表された発達障害関連研究と、新たに受理された論文を紹介します。中心となるのは、自閉症のある生徒が学校から排除される経験と、17歳時点の心の健康との関係を調べた英国の縦断研究です。学校排除を経験した割合には大きな差がありましたが、後の外在化症状を説明する割合は小さく、結果の読み方には注意が必要です。

あわせて、自閉症児への音楽を用いた支援の系統的レビュー・メタ解析、医師が行った保護者面接を大規模言語モデルで採点するスクリーニング研究、感覚過敏を生活環境や参加の問題として捉える論考を取り上げます。いずれも、単一の数値や介入名だけで支援を決めるのではなく、本人の経験、学校や家庭の環境、研究の対象と限界を踏まえることの大切さを示しています。

自閉症児者の運動参加を支援につなげるには

· 36 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

本記事では、2026年9月25日に公開・掲載された発達障害・神経発達症関連の研究を紹介しています。今回は、知的障害を併存する自閉症の青年・若年成人が、組織化された運動よりも散歩などの日常的な非組織化活動に多く参加している一方、中高強度身体活動は推奨量に届きにくいことを示した研究を中心に、ASD児の社会的スキルに対する運動介入のメタ解析、ASD青年のサイバーいじめ被害に関するスコーピングレビュー、拡張現実を使ったナラティブ課題、神経多様な幼児に向けたウェアラブル神経画像研究の共創、ASXL3と甲状腺ホルモン軸に関する基礎研究、成人ADHD診療体制の公平性をめぐる論考を取り上げます。

全体として、発達障害支援では、介入名そのものよりも「本人が日常生活の中で参加できる形になっているか」が重要です。運動、音楽、AR、遠隔技術、神経画像、薬物療法、遺伝子・ホルモン研究はいずれも有望な入口を持ちますが、それぞれのエビデンスの強さ、対象者、負担、環境条件は異なります。支援を設計する際には、本人の感覚特性、家族の実行可能性、地域資源、学校や医療の導線を合わせて考える必要があります。