本ブログ記事では、教師によるADHDの評価における文化的偏りを扱ったスコーピングレビューの内容を紹介しています。25本の国際的研究を分析した結果、集団主義や高い権力格差、長期志向といった文化的特性を持つ国々では、教師がADHDの症状をより多く報告しやすく、医療機関への紹介頻度も高い傾向があることが明らかになりました。

学術研究関連アップデート

Cross-cultural disparities in teachers’ reports of ADHD symptoms and behavior: a scoping review

本レビュー論文は、ADHDの学校ベースのスクリーニングや診断、支援計画において重要視される教師の評価に、文化的な偏りがどのように影響しているかを明らかにすることを目的としたスコーピングレビューです。25本の査読付き論文を対象に、ホフステードの文化的次元理論を用いて分析した結果、集団主義、高い権力格差、長期志向の文化を持つ国々では、教師がADHD症状をより多く報告し、医療機関への紹介も多い傾向があることが示されました。また、教師や生徒の属性、教室環境や教育制度の違いも評価の差に影響していました。これらの結果から、ADHDの評価や診断において文化的背景を考慮する必要性と、評価尺度の国際的な標準化の重要性が強調されています。より信頼性の高い評価・診断と支援の提供に向けて、文化的妥当性を高める取り組みが求められています。