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ASDを持つ子どもの遊び心と家庭環境の関係(トルコ)

· 3 min read
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

このブログ記事では、自閉スペクトラム症(ASD)の幼児36人を対象に、感覚統合室という特別な遊び空間での「遊び心(Playfulness)」の発現と、その家庭環境との関係を調査した研究を紹介しています。子どもの遊び心は、父親の学歴、母親の就業状況、家計収入と有意な関連があることが明らかになり、遊びの質には家庭背景が影響する可能性が示唆されました。

学術研究関連アップデート

Playfulness of Preschool-Aged Children With Autism in a Sensory Integration Room

この研究は、「感覚統合室(Sensory Integration Room)」という特別な遊び空間で、自閉スペクトラム症(ASD)の幼児たちがどれだけ“遊び心(Playfulness)”を発揮できるかを調べたものです。遊び心とは、①内発的動機づけ(自分の意志で遊ぶ)②自己コントロール(自分で遊び方を決める)③現実を超えて想像の世界で遊ぶ自由の3つの要素から成ります。


🔍 研究の概要

  • 対象:自閉症の診断を受けた36人の幼児(平均年齢 約5歳)
  • 方法:トルコ語版「遊びのテスト(Test of Playfulness)」で遊び心を評価し、性別や年齢、親の学歴・就業状況、家計状況などとの関連を分析。

📊 主な結果と発見

  • 子どもの遊び心は、次の要因と有意に関連していました:
    • 父親の学歴が高いほど、遊び心が低い傾向(相関係数 -0.534)
    • 母親が働いている場合、遊び心が高い傾向(相関係数 0.335)
    • 家計収入が多いほど、遊び心が低い傾向(相関係数 -0.469)

💡 考察ポイント

  • 意外なことに、「家が裕福」「父親が高学歴」という要素が、子どもの遊び心とは逆相関を示しました。これは、家庭環境での自由な遊びの機会や親子の関わり方に何らかの影響がある可能性が示唆されます。
  • 一方で、母親が働いている場合は、遊び心が高くなる傾向があり、子どもがより自主的に遊ぶ環境が整っているとも考えられます。

✅ まとめ

この研究は、感覚統合室という環境が自閉症の子どもたちにどのように「遊び」を引き出すか、そしてその背景にある家庭の要因との関係を明らかにした貴重な報告です。今後は、家庭内の関わりや遊びの質を含めたより詳細な研究が期待されます。