最小限発話のASD児で早期介入反応を予測・牽引する鍵
本記事は、発達障害・神経発達の最前線を横断する最新研究を紹介している。社会面では、ADHDを「実行機能の障害」と捉え直し神話を打破した心理学者トーマス・E・ブラウン氏の訃報を取り上げ、学術面では①ADHD当事のシングルマザーが共感を強みに育児を進める質的研究、②ASDの早期腸内細菌叢の乱れが将来的なパーキンソン病リスクに関わるという腸―脳仮説、③大学生期ディスレクシアの読字遅延は特定要因より“全体的処理速度”の影響が大きいこと、④ADHDに対する大麻使用の主観的メリット(衝動性・不安の軽減)と客観的な認知機能低下のトレードオフ、⑤最小限発話のASD児で早期介入反応を予測・牽引する鍵が共同注意と遊び・要求行動であること、⑥MYT1L変異による発達遅滞とASDの症例報告、⑦科学館におけるASD来館者の包摂に必要なスタッフ研修・感覚配慮・態度的アクセシビリティの強化——といった知見を俯瞰し、研究から実践・政策までの橋渡しを意図している。
