ASD児の象徴的遊びスキル向上を目的としたAR/VR+演劇トレーニングの効果
このブログ記事では、自閉症(ASD)、ADHD、ディスレクシア(読字障害)などの発達障害に関連する最新の学術研究を幅広く紹介しています。具体的には、ASD児の象徴的 遊びスキル向上を目的としたAR/VR+演劇トレーニングの効果、ADHD児の脳機能異常をVRタスクで分析した研究、ディスレクシア児の視覚機能の特徴、ダウン症児の二重課題による移動能力への影響、OCD(強迫性障害)と発達の遅れの関係、ゲームを活用した介入(GBI)の効果、発達障害児のメンタルヘルス研究における測定の課題、親の社会的サポートとレジリエンスの関係、そしてディスレクシア研究の資金配分と当事者のニーズのギャップ など、多岐にわたるテーマが含まれています。これらの研究を通じて、発達障害に関する支援や教育、診断・介入方法の改善に向けた示唆を提供しています。
社会関連アップデート
Opinion | Explaining the Autism Surge
自閉症の診断数の増加において、以前紹介したコラムに対する意見が紹介されています。それは診断数の増加要因の一つとしてDSM-5におけるアスペルガーと自閉症が統合された点です。投稿者はアスペルガーはむしろADHD寄りの特性を示すことがあると指摘しましたが、それがDSM-5作成の際には受け入れられず、ASDの方へ統合されたことが増加の要因の一つとして考えられるのではと指摘しています。詳しくは記事をご覧ください。
学術研究関連アップデート
Applying theatre-based role-playing combined with AR and VR game strategies to enhance imagination and symbolic play skills in children with autism spectrum disorder
この研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある子どもたちが、想像力や象徴的な遊び(symbolic play)を向上させるために、演劇的なロールプレイとAR/VRゲームを組み合わせたトレーニングを実施 したものです。特に、「オズの魔法使い」の物語を活用したインタラクティブなゲームを用いることで、社会的認知能力の向上を目指しました。
研究の背景
- ASDの子どもは、想像力が弱く、象徴的な遊びが苦手な傾向がある。
- 例:ごっこ遊びや物語を作ることが難しい。
- 象徴的な遊びが苦手だと、他者の感情や暗示的な言葉を理解しにくくなり、社会的コミュニケーションが難しくなる。
- 演劇(ロールプレイ)やゲームを使うことで、社会的スキルを向上させることができるのではないか? という仮説のもと、研究を実施。
研究方法
- 対象者:7〜9歳のASD児(高機能自閉症)4名
- 実験デザイン:複数ベースラインデザイン(複数の段階で比較)
- ベースライン期(介入前の能力を測定)
- 介入期(演劇+AR/VRゲームを導入)
- 維持期(トレーニング終了後の効果を測定)
- 使用した手法
- 「オズの魔法使い」のストーリーを活用
- 演劇ロールプレイ(役になりきる活動)
- AR/VRゲーム(視覚的・体験的に社会的スキルを学ぶ)
研究結果
- 全員の象徴的な遊びスキルが大幅に向上
- 介入前の平均スコア:23.04%
- 介入後の平均スコア:59.38%
- 維持期の平均スコア:69.33%(トレーニング終了後も効果が続いた)
- 「社会的行動評価尺度(Social Behavior Rating Scale)」での評価
- 5つのスキルすべてが向上
- 演劇ロールプレイのスキル
- 象徴的な遊びスキル
- ゲームへの持続性
- 双方向の社会的やり取りスキル
- 言葉での表現能力
- 最も向上したのは「象徴的な遊びスキル」。
- 5つのスキルすべてが向上
研究の結論
- 演劇ロールプレイとAR/VRゲームを組み合わせることで、ASD児の象徴的な遊びスキルが大幅に向上することが確認された。
- 象徴的な遊びスキルの向上は、社会的な相互作用の改善にもつながった。
- ゲーム形式の学習法は、楽しみながら社会的スキルを身につける有効な方法となる可能性がある。
ポイント(簡単なまとめ)
✔ ASD児は想像力や象徴的な遊びが苦手 → AR/VR+演劇で改善可能!
✔ 「オズの魔法使い」を活用したゲームで、象徴的な遊びと社会的認知能力が向上
✔ 介入前は23%のスコアだったが、介入後は59% → 維持期には69%に上昇
✔ 社会的なスキル(双方向のやり取り、表現力など)も向上した
✔ AR/VRを使った学習は、楽しく効果的なトレーニング手法として有望!
この研究は、ゲームや演劇を活用することで、ASD児が楽しみながら社会的スキルを伸ばせる可能性を示した 重要な研究です。
Measurement issues in longitudinal studies of mental health problems in children with neurodevelopmental disorders
この研究は、神経発達症(NDD)のある子どもたちのメンタルヘルスの変化を追跡する研究(縦断研究)が抱える測定上の問題点を明らかにし、バイアス(偏り)のリスクを評価する方法を開発・検証 したものです。特に、メンタルヘルス問題を正しく測定するために、どのような課題があるのかを分析しました。
研究の背景
- 神経発達症(NDD)(自閉症スペクトラム障害、ADHD、学習障害など)を持つ子どもたちは、メンタルヘルスの問題(不安、うつなど)を抱えやすい。
- しかし、長期間のメンタルヘルスの変化を追跡する研究(縦断研究)には測定上の問題が多く、結果に偏りが生じる可能性がある。
- そこで、この研究では、縦断研究のバイアスを評価するための4つの主要な課題を特定し、研究の質を評価する新しい基準を作成。
研究の方法
- 過去の研究(システマティックレビュー)をもとに、新しい評価基準を作成。
- 過去に発表された49件のNDD児に関する縦断研究を、この基準に基づいて分析し、バイアスのリスクを評価。
分析した4つのバイアス要因
- メンタルヘルス問題とNDDの診断基準の概念的な重なり → 例:ADHDの「衝動性」と「問題行動」を混同して評価していないか?
- 一人の情報提供者(主に親)に依存しすぎている → 例:親の報告のみで子どものメンタルヘルスを評価していないか?
- 子どもの視点が考慮されていない → 例:子ども自身の意見が反映されていない測定方法ではないか?
- NDDの子どもに適した測定ツールを使用していない → 例:一般的なメンタルヘルス評価ツールをそのまま使用し、NDDの特性を考慮していない。
研究結果
- 49の研究のうち、57.1%が高いバイアスのリスクを持つと評価された。
- 最も大きな問題は「NDDの子どもに適した測定ツールが使われていないこと」(87.8%の研究が該当)。
- 子どもの視点が考慮されていないケースは比較的少なく(24.5%)、他のバイアスよりも問題は軽度だった。
研究の結論
- NDD児のメンタルヘルスを正しく評価するには、以下の点が重要:
- メンタルヘルス問題とNDDの診断基準を明確に区別する
- 複数の情報提供者(親・教師・子ども本人)からのデータを活用する
- 子ども自身が回答できる「認知的にわかりやすい自己評価ツール」を活用する
- NDDの特性に適した評価尺度を選択する
この研究は、NDDの子どものメンタルヘルス研究の精度を向上させるための重要な指針を提供しており、今後の研究の質を高めるための具体的な改善策を提示 しています。
ポイント(簡単なまとめ)
✔ NDD児のメンタルヘルスを評価する縦断研究には、測定上のバイアスのリスクがある
✔ 49件の研究のうち、57.1%が高いバイアスのリスクを持つと判定
✔ 最大の問題点は「NDD児に適した評価ツールを使用していない」点(87.8%の研究)
✔ 「親の報告だけに依存しない」「子どもの視点を取り入れる」「適切な評価尺度を使用する」ことが重要
✔ 今後の研究の質向上のため、認知的にわかりやすい自己評価ツールの開発・活用が求められる
この研究は、NDDの子どもたちの メンタルヘルスを正確に把握し、より適切な支援を提供するために、研究方法の改善が必要であることを示しています。
How Do Social Support and Resilience Interact in Parents of Children with ASD? A Cross-Lagged Mediation and Moderation Analysis from the COR Perspective
この研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもを育てる親の「社会的サポート」と「レジリエンス(回復力)」がどのように影響し合うのかを長期的に分析したもの です。特に、「アクティブ・コーピング(積極的な対処)」がこの関係をどのように仲介するのか、また子どもの年齢(未就学児 vs. 学齢期)が影響を与えるのかを調査しました。
研究の背景
- ASD児の親は、精神的・身体的な負担が大きく、ストレスにさらされやすい。
- 親が周囲からの社会的サポートを受けることで、ストレスを乗り越えるレジリエンス(回復力)が高まる可能性がある。
- しかし、この関係は単純なものではなく、「レジリエンスが高い親ほど、より積極的に社会的サポートを得ることができるのではないか?」という双方向の影響が考えられる。
- また、「アクティブ・コーピング(積極的に問題解決に取り組む対処方法)」が、この相互作用を仲介しているのではないか? という仮説を検証。
研究方法
- 対象者:3〜15歳のASD児の親 436人(中国)
- 調査時期:2回(T1: 調査開始時、T2: 6ヶ月後)
- 使用した評価尺度:
- 社会的サポートの測定(Social Support Questionnaire)
- レジリエンス(回復力)の測定(Connor-Davidson Resilience Scale)
- コーピング(対処法)の測定(Coping Strategies Inventory)
- 分析方法:縦断的クロスラグ構造方程式モデリング(longitudinal cross-lagged structural equation modeling)
- 時間の経過とともに、社会的サポートとレジリエンスがどのように影響し合うのかを分析。
- アクティブ・コーピングがどのように関係を仲介するかも調査。
- 子どもの年齢別(未就学児 vs. 学齢期)に影響の違いを比較。
研究結果
- 社会的サポートとレジリエンスは、双方向に影響し合う関係がある
- T1時点での社会的サポートが高いと、T2時点でのレジリエンスが高まる。
- 逆に、T1時点でのレジリエンスが高いと、T2時点でより多くの社会的サポートを得られる傾向がある。
- つまり、社会的サポートとレジリエンスは互いに強化し合う「好循環」を生む可能性がある。
- 「アクティブ・コーピング」がこの相互作用を仲介
- 積極的に問題を解決しようとする親ほど、社会的サポートを活用しやすく、それがレジリエンスの向上につながる。
- また、レジリエンスが高い親ほど、積極的にコーピングを実践しやすくなる。
- 子どもの年齢による違い
- 全体的なモデルに大きな違いはなかったが、「T1時点のレジリエンスがT2時点の社会的サポートに与える影響」は、学齢期の子どもを持つ親の方が顕著だった。
- つまり、子どもが成長するにつれて、親のレジリエンスが社会的サポートの獲得により大きな影響を与えるようになる可能性がある。
研究の結論
- 社会的サポートとレジリエンスは相互に強化し合う関係にあり、アクティブ・コーピングがその中心的な役割を果たす。
- 学齢期の子どもを持つ親では、レジリエンスが社会的 サポートの獲得により大きく影響する。
- 親への支援策として、「社会的サポートの充実」と「アクティブ・コーピングの促進」が重要なポイントになる。
ポイント(簡単なまとめ)
✔ 「社会的サポート」と「レジリエンス(回復力)」は双方向に影響し合う
✔ 「アクティブ・コーピング(積極的な問題解決)」がこの関係を仲介
✔ 学齢期の子どもの親では、レジリエンスが社会的サポートの獲得により大きな影響を与える
✔ 親の支援には、社会的サポートの充実と、積極的な問題対処スキルの向上が重要
この研究は、ASD児の親のストレス対処法や支援のあり方を改善するための貴重な知見 を提供しており、年齢別に適したサポートの重要性を示しています。
Family Navigation for Children with Autism: A Scoping Review of Quantitative and Qualitative Evidence
この研究は、「ファミリー・ナビゲーション(Family Navigation, FN)」が 自閉症児とその家族にどのような効果をもたらすのかを、既存の研究を整理・分析することで明らかにしようとしたもの です。FNは、自閉症児を持つ家庭が必要な支援やサービスにスムーズにアクセスできるよう、専門家や経験者がサポートするプログラム であり、近年注目されています。
研究の目的
- 自閉症児向けのFNに関する研究の全体像を把握する(どのような研究があるのか?)
- FNの具体的なモデル(支援の仕組み)とその効果を整理する(どのように機能し、どんな影響を与えるのか?)
- まだ明らかになっていない点(研究の課題)を特定し、今後の研究の方向性を示す
研究の方法
- スコーピング・レビュー(研究の全体像を広く把握するためのレビュー方法)を採用。
- データ収集元:PubMed, CINAHL, Embase, Social Services Abstracts, Web of Science などの学術データベース。
- 308件の論文を調査し、最終的に17件の研究を対象に分析。
研究の結果
- FNの研究は17件のみで、まだ発展途上の分野である
- FNの具体的な支援モデルは以下の3タイプ
- 専門家(プロフェッショナル)ナビゲーターによる支援(7件の研究)
- 経験者(ピア・ナビゲーター)による支援(7件の研究)
- FNを支援するツール(アプリやオンラインシステム)の開発(3件の研究)
- FNの主な効果
- 家族のアクティベーション(支援を積極的に活用する力の向上)
- 家族の心理的な負担の軽減
- 自閉症に関する知識の向上
- 必要な医療・福祉サービスへのアクセス向上
- サービスの利用率の増加
- 一方で、子どもの発達や行動への影響を検証した研究はなかった
研究の結論
- FNは、自閉症児の家庭にとって有望な支援手段であることが示唆された。
- 特に、家族の心理的な負担を減らし、適切な支援につなげる上で有効である可能性が高い。
- しかし、子どもの発達や行動への具体的な影響については、まだ研究が不足している。
- 今後の研究では、FNの「最も効果的な実施方法(ベストプラクティス)」を確立し、子どもと家族の両方にとっての長期的な成果を測る必要がある。
ポイント(簡単なまとめ)
✔ ファミリー・ナビゲーション(FN)は、自閉症児の家族の支援を強化し、サービスの利用を促進する手法。
✔ 専門家や経験者(ピア)がナビゲーターとなり、家族が必要なサポートを受けられるよう手助けする。
✔ 家族のストレス軽減・知識向上・支援へのアクセス改善に効果があることが確認された。
✔ ただし、子どもの発達や行動への具体的な影響を測定した研究はまだほとんどない。
✔ 今後はFNの効果的な実施方法を確立し、家族・子ども双方の長期的な影響を検証することが求められる。
この研究は、FNが自閉症児の家族にとって有効な支援方法である可能性を示唆しており、より効果的な活用方法を探るための重要な知見 を提供しています。
Effects of dual task on functional mobility in individuals with Down syndrome: a case–control study - Bulletin of Faculty of Physical Therapy
この研究は、ダウ ン症(DS)のある人が「二重課題(デュアルタスク)」を行うと、移動能力(歩行や動作)がどの程度影響を受けるのか を調査したものです。特に、認知的な作業(例:動物の名前を言う)やスマートフォンの操作(例:会話やタイピング)をしながら移動する際の影響 を比較しました。
研究の背景
- ダウン症(DS)のある人は、移動能力(歩行・バランス・運動の協調)が一般的に低下しやすい。
- 日常生活では、移動しながら会話をしたり、スマートフォンを操作するなど、複数の作業(デュアルタスク)を同時に行う場面が多い。
- ダウン症のある人がこうしたデュアルタスクを行うと、移動能力にどのような影響があるのかを明らかにするため、実験を実施。
研究方法
- 対象者:
- ダウン症のある人 9名
- 年齢・性別を合わせた健常者 9名(コントロール群, CG)
- 評価方法:
- Timed Up and Go(TUG)テスト(椅子から立ち上がり、歩いて戻るまでの時間を測定)
- 4つのデュアルタスク条件でTUGテストを実施
- 認知課題(動物の名前を言いな がら歩く)
- 運動課題(物を持つなどの簡単な動作をしながら歩く)
- 会話課題(歩きながら会話する)
- スマートフォンのタイピング(歩きながらスマホで文字を入力)
- デュアルタスクの影響を「インターフェレンス・インデックス(干渉指数)」で測定
- 統計解析(ANOVA・t検定)を用いて、ダウン症のある人と健常者を比較
研究結果
- すべての条件で、ダウン症のある人は健常者よりも移動能力が低下
- 単独の移動タスク(シングルタスク)でも、ダウン症のある人は健常者より時間がかかった。
- デュアルタスク(複数の作業を同時に行う)では、さらに悪化する傾向があった。
- デュアルタスクの影響が最も大きかったのは「認知課題」
- 動物の名前を言いながら歩くタスクでは、移動能力の低下が最も顕著だった。
- スマートフォンのタイピングも大きな影響を与えた
- スマホの画面を見ながら文字を入力すると、移動速度が著しく低下。
- ダウン症のある人では、健常者と比べて影響がさらに大きかった。
- デュアルタスクの負荷は、運動課題や会話課題よりも、認知やスマホ操作の方が大きかった
- 簡単な運動(物を 持つなど)や会話の影響は比較的軽微だった。
- 一方、考えながら話すタスク(認知課題)やスマホ操作は、移動能力を大幅に低下させた。
研究の結論
- ダウン症のある人は、デュアルタスク(特に認知課題やスマホ操作)によって、移動能力が大幅に低下する ことが確認された。
- 現代社会では、歩きながら会話やスマホ操作をすることが一般的になっているため、ダウン症のある人にとって移動中のリスクが高まる可能性がある。
- リハビリや運動トレーニングに「デュアルタスク」を組み込むことで、移動能力を向上させる可能性がある。
- 今後の研究では、より実践的なトレーニング方法の開発や、日常生活での安全性向上に焦点を当てることが重要。
ポイント(簡単なまとめ)
✔ ダウン症のある人は、移動しながら他の作業をすると、移動能力が低下しやすい。
✔ 特に「認知課題(動物の名前を言う)」や「スマホ操作(タイピング)」が大きな影響を与える。
✔ 運動課題や会話課題は比較的影響が少ない。
✔ 移動中の安全確保のため、リハビリ に「デュアルタスクトレーニング」を取り入れることが有効かもしれない。
✔ 今後の研究では、日常生活での実用的な対策やトレーニング方法の開発が求められる。
この研究は、ダウン症のある人の移動能力をより安全に改善するための重要な知見 を提供しており、リハビリや日常生活のサポートに役立つ可能性が高い ことを示しています。
Visual function deficits in dyslexic children: a case-control study - BMC Ophthalmology
この研究は、読字障害(ディスレクシア)のある子どもが、視覚機能(目の働き)にどのような違いを持っているのかを調べたもの です。特に、視力だけでなく、コントラスト感度(ぼんやりした文字を識別する力)や両目の立体視(奥行きを感じる力)に焦点を当てて分析 しました。
研究の目的
- ディスレクシアのある子ども(7〜10歳)と、ない子どもを比較し、視覚機能に違いがあるかを調べる。
- 特に、「コントラスト感度」や「立体視」に注目し、ディスレク シアの視覚的な特徴を明らかにする。
研究の方法
- 対象者:
- ディスレクシア児(32人)
- 健常児(32人, コントロール群)
- 7〜10歳の男女(平均8.1歳)
- 実施した視力検査:
- 遠くを見る力(矯正視力)
- 屈折異常(近視・遠視・乱視などの有無)
- 目のずれ(斜視の程度)
- 立体視(両目で奥行きを感じる力)
- 近見調節力(近くのものにピントを合わせる力)
- コントラスト感度(明るさの差を識別する力)
研究結果
- 一般的な視力(遠くを見る力)は、ディスレクシア児と健常児の間で大きな違いはなかった(P > 0.05)。
- ディスレクシア児は、コントラスト感度(CS)が低かった。
- ぼんやりした文字を識別する能力が低下している 可能性がある。
- 平均スコア:
- ディスレクシア児:115.8 ± 40.6(cycle per degree)
- 健常児:175.6 ± 44.3
- (P < 0.001, 有意な差)