ChatGPTを使ったADHDの“演技”リスク
· 約21分
本記事では、2025年3月に公開された発達障害関連の最新研究を紹介しています。具体的には、ADHD児の親によるネット情報活用の実態、AIによるASDやADHDの高精度診断モデルの開発、ChatGPTを使ったADHDの“演技”リス ク、ASD児の保護者向けデジタル支援教材、脳波を用いたADHD検出技術、そして妊娠中の世帯所得と子どものASDリスクの関連性についての大規模調査など、多様な観点から発達障害に関する理解と支援の在り方に迫る研究をわかりやすく解説しています。
学術研究関連アップデート
Online search and activities of parents of children with ADHD: a qualitative study - Child and Adolescent Psychiatry and Mental Health
この研究は、ADHD(注意欠如・多動症)のある子どもを育てる親が、インターネットを通じてどのように情報を探し、それが支援の受け方や医療者との関係にどう影響しているかを明らかにした質的研究です。
🔍 研究の背景
- 子どもの発達や精神的な問題について、親の理解や判断が支援の第一歩となる。
- ADHDのような発達障害について、親はネット検索を通じて知識や他の親とのつながりを得ようとするが、実際にどんな体験をしているかはこれまで詳しく調べられていなかった。
🧪 研究の方法
- フランスで、ADHDのある子どもを持つ20人の親にインタビュー。
- 「IPSEアプローチ(Inductive Process to analyze the Structure of lived Experience)」という方法を用いて、親たちの実際の体験を丁寧に聞き取り、共通するテーマを抽出。
📊 親の体験から見えた3つの主な軸
-
インターネットと支援への道筋
→ 医療にたどり着くまでに迷う中で、ネットが情報の羅針盤になっていた。
-
ネット上の知識とその支えとしての役割
→ 専門家の説明だけでは足りないと感じた親たちが、SNSやブログ、体験談から安心感や解決のヒントを得ていた。
-
専門家とネット情報とのズレ
→ 医師の説明とネット情報の間に矛盾があると、親は混乱や不信感を抱く場面も多く、どの情報を信じるか悩んでいた。
✅ 結論と提言
- 親はインターネットを、情報源としてだけでなく「仲間とつながれる場」として大切にしている