メインコンテンツまでスキップ

LDとは?LDの定義から歴史まで徹底解剖!【詳解LD】

· 約11分

これまで発達障害として挙げられるADHDやASDを取り上げてきましたが、LD(学習障害)も発達障害の代表のひとつとされています。

はじめに

これまで発達障害として挙げられるADHDやASDを取り上げてきましたが、LD(学習障害)も発達障害の代表のひとつとされています。

LDは、ADHDやASD同様、歴史の中で繰り返し定義や概念が変わってきました。

今回は、LDの定義や歴史に関して詳解します。

LDとは

LDとは、"Learning Disability"(学習障害)の頭文字をとった、発達障害のひとつです。

LD(学習障害)の定義には、文部科学省が定義したものと、DSM-5やICD-10の医学的な定義があります。

文部科学省はLD(学習障害)を以下のように定義しています。

学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。  学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

一方DSM-5では以下のように定義されています。

参照:American Psychiatric Association "What Is Specific Learning Disorder?" 鷲見 聡「発達障害の新しい診断分類について〜非専門医も知っておきたいDSM-5の要点~」

学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の中で1つ以上に困難が生じ、少なくとも6ヶ月持続していること 1.文字を読む(例:不正確、遅い、努力が必要)  2.読んだ意味の理解 3.綴り字 4.文章記述(例:文法、句読点、構成の問題) 5.数概念や計算 6.数学的推論(例:数学的概念の応用や数学の問題を解く)

※リストは行動の一例です。

ICD-10では以下のように定義されています。

参照:WHO "The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders"

F81 学習能力の特異的発達障害 F81.0 特異的識字障害 F81.1 特異的書字障害 F81.2 特異的算数能力障害

文部科学省など教育領域で使用されるLD(学習障害)は「聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力」と広い範囲の障害が含まれる一方、DSM-5やICD-10など医学的領域では「読み、書き、計算」と範囲が限定されています。

LDの種類

LDには、DSM-5において読字障害(ディスレクシア、Dyslexia=読みの困難)、書字表出障害(ディスグラフィア、Dysgraphia=書きの困難)、算数障害(ディスカリキュリア、Dyscalculia=算数、推論の困難)などさまざまなタイプがあり、また人によって症状の現れ方も違うため、診断が難しい障害でもあると広く言われています。

LDの歴史

参照:東俣 淳子 「学習障害の早期発見・支援に関する研究」、愛知教育大学教育実践総合センター 吉本弥須子 「LD(学習障害)と特別支援教育」

1800年代

1877年 ドイツの神経内科医Adolf Kussmaulが視覚や知的能力に問題がないにも関わらず、読みの問題を呈した大人の例を"語盲"(word blindness)と表現しました。

1896年 アメリカ人医師Morganは読み書きに問題のある14歳の少年の例を"先天性語盲"として紹介しました。

1900年代

1905年 クリーブランドの眼科医W.E. Brunerが、アメリカで初めて小児期における読書困難について報告をしました。

1960年代 脳性まひ児の症例をもとに学習障害は微細脳損傷(MBD:Minimal Brain Dysfunction)に因るのではないかという考えが広がっていきました。

1962年 アメリカ人Samuel A. Kirkが、著書「特殊児童の教育」において読み書きや計算の困難さに対してLD(Learning Disabilities)を使用されました。

1963年 シカゴで保護者と専門家による「知覚的障害児問題への探求」と題する会議が開催され、記念講演を行ったカークの演題にもあった「Learning Disabilities 」が、新しいカテゴリー名として参加者の間で合意されました。この年はLD元年とも呼ばれました。

1975年 アメリカの全障害児教育法の中に初めてLDの用語が定義されました。

1988年 全米LD合同委員会(NJCLD)で以下の定義が採用されました。「学習障害とは、聞く、話す、読む、書く、推理する、あるいは計算する能力の習得と使用に著しい困難を示す、様々な障害群を総称する用語である。」

1990年代文部省(現文部科学省)が「進級学級に関する調査研究協力会議」のなかで学習障害に関する検討がされるようになりました。

1999年 文部省(現文部科学省)がNJCLDの定義を基本的に踏襲し、LDを以下のように定義されました。 「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指すものである。」

1992年 ICD-10では、「学力(学習能力)の特異的発達障害」と定義されました。

2000年代 2000年DSM-Ⅳ-TRでは、「学習障害」と定義されました。

2007年 LD(学習障害)が特別支援教育の対象として学校教育の中で支援が受けられるようになりました。

2013年 DSM-5では、診断名が変更され、「限局性学習障害/限局性学習症(Specific Learning Disorders)」と定義されました。

まとめ

今回の記事ではLDの定義と歴史に関して詳解しました。

LDは、DSM-5上でSLD(限局性学習障害/限局性学習症)という名称に変更されましたが、一般的には現在もLD(学習障害)が使用されることが多いです。

人によっては参照している定義が異なる場合もあるかと思います。いくつかある定義のどの情報を参照してLDや学習障害と言う単語を使用されているのかと言う点に注意すると、より情報共有や共通認識化がしやすくなるかと思います。

最新のLDに関する情報や研究などを引き続きウォッチし、記事を更新していきますので、見逃さないようぜひニュースレターのご登録をお願いいたします!

当ブログのコンテンツ・情報について、可能な限り正確な情報を提供するように努めておりますが、情報が古くなっている場合もあるため、正確性や安全性を完全に保証するものではありません。

当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。