LDとは?LDの定義から歴史まで徹底解剖!【詳解LD】
これまで発達障害として挙げられるADHDやASDを取り上げてきましたが、LD(学習障害)も発達障害の代表のひとつとされています。
はじめに
これまで発達障害として挙げられるADHDやASDを取り上げてきましたが、LD(学習障害)も発達障害の代表のひとつとされています。
LDは、ADHDやASD同様、歴史の中 で繰り返し定義や概念が変わってきました。
今回は、LDの定義や歴史に関して詳解します。
LDとは
LDとは、"Learning Disability"(学習障害)の頭文字をとった、発達障害のひとつです。
LD(学習障害)の定義には、文部科学省が定義したものと、DSM-5やICD-10の医学的な定義があります。
文部科学省はLD(学習障害)を以下のように定義しています。
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。 学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。
一方DSM-5では以下のように定義されています。
参照:American Psychiatric Association "What Is Specific Learning Disorder?" 、鷲見 聡「発達障害の新しい診断分類について〜非専門医も知っておきたいDSM-5の要点~」
学習や学業的技能の使用に困難があり、その困 難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の中で1つ以上に困難が生じ、少なくとも6ヶ月持続していること 1.文字を読む(例:不正確、遅い、努力が必要) 2.読んだ意味の理解 3.綴り字 4.文章記述(例:文法、句読点、構成の問題) 5.数概念や計算 6.数学的推論(例:数学的概念の応用や数学の問題を解く)
※リストは行動の一例です。
ICD-10では以下のように定義されています。
参照:WHO "The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders"
F81 学習能力の特異的発達障害 F81.0 特異的識字障害 F81.1 特異的書字障害 F81.2 特異的算数能力障害
文部科学省など教育領域で使用されるLD(学習障害)は「聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力」と広い範囲の障害が含まれる一方、DSM-5やICD-10など医学的領域では「読み、書き、計算」と範囲が限定されています。
LDの種類
LDには、DSM-5において読字障害(ディスレクシア、Dyslexia=読みの困難)、書字表出障害(ディスグラフィア、Dysgraphia=書きの困難)、算数障害(ディスカリキュリア、Dyscalculia=算数、推論の困難)などさまざまなタイプがあり、また人によって症状の現れ方も違うため、診断が難しい障害でもあると広く言われています。