ADHDの子どもにおける過体重・肥満の併存が、食行動や睡眠習慣の問題とどのように関連しているか
このブログ記事では、ADHDの子どもにおける過体重・肥満の併存が、食行動や睡眠習慣の問題とどのように関連しているかを明らかにした研究を紹介しています。調査の結果、肥満を伴うADHD児は正常体重のADHD児に比べて、食欲の強さや食べ物への反応性が高く、夜間覚醒や日中の眠気などの睡眠問題が多い一方で、満腹感の乏しさや速食傾向が肥満のリスク因子となることが示されました。さらに、短い睡眠はBMI上昇と、強い食欲は不注意症状の重さと関連することも明らかになり、著者らはADHDの管理において、薬物療法や学習支援だけでなく、食行動や睡眠習慣への介入が重要であると指摘しています。
学術研究関連アップデート
Eating behavior and sleep habit problems and their correlation with symptoms in children with ADHD comorbid with overweight or obesity - Child and Adolescent Psychiatry and Mental Health
この研究は、注意欠如・多動症(ADHD)の子どもにおける過体重・肥満併存例の食行動・睡眠習慣の特徴と症状との関連を調べたものです。対象は ADHD+過体重/肥満児124名 と ADHD+正常体重児145名 で、食行動(Children’s Eating Behavior Questionnaire)、睡眠習慣(Children’s Sleep Habit Questionnaire)、ADHD症状(Vanderbiltスケール)が評価されました。結果として、過体重/肥満群は正常体重群に比べて 食べ物への反応性・食の享受度が高く、夜間覚醒・睡眠時呼吸障害・日中の眠気が多い一方で、満腹感応答や食べるスピードの遅さ、感情性少食は低いことが示されました。さらに、満腹感応答の低さや速い食事速度が肥満リスク要因となり、過体重/肥満群では 睡眠時間の短さがBMI上昇と関連、食べ物への反応性が不注意症状の重さと関連していました。著者らは、ADHD児の管理において 食行動や睡眠習慣を考慮する必要性を指摘し、今後はこれらを標的とした介入研究が求められると結論づけています。