チック症の子どもにおけるスクリーンタイムの影響
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このブログ記事では、発達障害や神経発達に関連する最新の研究を紹介しています。具体的には、チック症の子どもにおけるスクリーンタイムの影響(長時間のデジタル端末使用が症状を悪化させる可能性)、描画特性を用いた自閉スペクト ラム症(ASD)の早期診断法(視覚-運動統合テストを利用した深層学習モデルの高精度な診断)、およびADHDに関する知識向上を目指した介入方法の効果と費用対効果に関する体系的レビュー(保護者教育や医療従事者トレーニングが特に有効)の3つの研究が取り上げられています。これらの研究は、発達障害の早期発見・支援、教育・医療現場での対応の質向上に向けた重要な知見を提供しています。
Prolonged screen time is associated with increased severity of tic symptoms in children with tic disorders - Italian Journal of Pediatrics
この研究は、**チック症(Tic Disorders: TDs)を持つ子どもにおけるスクリーンタイム(ST: デジタル端末の使用時間)**とチック症状の重症度との関連を調べたものです。研究では、342人のチック症の子どもと270人の健常な子どもを対象に、デジタル端末の使用時間とチックの重症度を分析しました。
主な結果
- チック症の子どもはスクリーンタイムが長い:
- チック症の子どもの1日のスクリ ーンタイムは平均116分(±147.9分)で、健常な子どもの43分(±37.5分)と比べて有意に長いことが確認されました(p < 0.001)。
- スクリーンタイムとチック症状の関連:
- スクリーンタイムが長いほど、チック症状が重くなることが分かりました(Yale Global Tic Severity Scale [YGTSS]スコアとの正の相関: r = 0.461, p < 0.01)。
- スクリーン初体験の年齢は影響しない:
- スクリーンの使用を始めた年齢とチック症状の重症度には関連が見られませんでした(p > 0.05)。
- ビタミンDとの関係:
- スクリーンタイムとビタミンDレベルには負の相関が観察されましたが、統計的には有意ではありませんでした(p > 0.05)。
結論
- スクリーンタイムの重要性:
- チック症の子どもは、健常な子どもよりもスクリーンタイムが長く、その時間が増えるほどチック症状が悪化することが示されました。
- モニタリングと規制の必要性:
- チック症の子どもにおけるデジタル端末の使用時間を適切に管理し、過剰な使用を防ぐことが症状の軽減につながる可能性があります。